Trivia 製品豆知識
電気代がかからない!除電ブラシは究極の省エネ除電アイテム!!
製品豆知識2023/09/05
電子部品の生産工程などにおいて様々な障害を引き起こす静電気。その静電気を効率よく除電できる除電ブラシをご紹介いたします。また除電ブラシの除電の原理や形状、電極(ブラシ)の種類についても解説いたします。
そもそも静電気って何?
皆さんもよくご存知の静電気。この静電気とは一体何者なのでしょうか?
静電気とは、物体の電荷が正(+)か負(-)のどちらかに偏って蓄えられている状態のことを表したり、偏って蓄えられた電荷そのもののことを指したりします。
電荷には正(+)と負(-)があり、接触・剥離・摩擦などで負の電荷が移動し、電荷が偏った状態(静電気)が生じます。静電気が溜まっている状態のことを「帯電している」といい、製造業、とくに電子部品・半導体の製造工場では帯電している状態を作り出さないこと、帯電してもすぐに解消させることが重要になってきます。
※接触・剥離・摩擦・誘導による帯電については下記のコラムをご参照ください。
●コラム「静電気の豆知識」
静電気が発生すると何が起こる?静電気でおこる障害について
静電気がもたらす現象は2つあります。放電現象(バチっとくる現象)と力学現象(物が引き寄せられる現象)です。
放電現象はドアノブやロッカーなどで痛みを感じた経験がある方が多いと思います。力学現象は、子供のころ下敷きで頭を擦って髪の毛を逆立てたりした方もいるのではないでしょうか。
ではそれぞれどのような障害を引き起こすのか見ていきましょう。
放電現象による障害
半導体ICの損傷・破壊
ICは人体では感じ取れないほどの放電でも損傷してしまいます。物理的に帯電状態を作り出さないことが重要です。
火災や爆発
可燃性ガスや粉塵が舞っているエリアでは放電による火災や爆発が懸念されます。ガソリンスタンドで給油の際に除電シートに触れてから給油するのは放電による火災・爆発を防止する為です。
電撃や二次災害
静電気のショックで人命にかかわることは考えにくいですが、ショックにより転倒したり、落下したりする危険性があります。
力学現象による障害
静電気によるブロッキング
特に薄い板状の製品を扱う工場で発生しやすい障害です。薄い板同士が静電気で引っ付いてしまうことをいいます。作業効率が大幅にダウンしてしまうため対策は非常に大事です。
塵や埃の吸引
空間にある塵や埃が静電気で引き寄せられ製品に付着・混入し、品質が低下する障害です。
除電ブラシとは
除電ブラシは電源が不要な(電気代がかからない)自己放電式の除電アイテムで、上記のような様々な障害を引き起こす静電気に対して高い効果を発揮します。特に電位の高い帯電物体の除電に効果的な製品です。
では除電ブラシはどのような原理で静電気を除去するのでしょうか。
除電ブラシの除電原理
除電ブラシは金属繊維などの導電繊維の自己放電を利用して静電気を除去します。
①帯電物体の表面がマイナスに帯電しているとします
②アースを取った状態の除電ブラシを近づけていきます
③除電ブラシの先端にプラスイオンとマイナスイオンが発生します
④帯電物体にプラスイオンが引き寄せられて、中和されます
⑤除電ブラシに残ったマイナスイオンは、アースを通って逃げていきます
除電ブラシの種類
除電ブラシには様々な形状や種類があり、電極はステンレス繊維のものから導電性不織布のものまで多種多様です。
形状
小判型
ハンドブラシ型
刷毛型
テープ型
バー型(機械取付型)
電極(ブラシ)の種類
- 導電性ゴールド繊維:汎用性の高い有機導電性繊維です。フィルムやベルトの除電と埃除去に適しています。
- カーボン繊維:ゴールド繊維より硬い繊維で、印刷工程などに適しています。
- ストロングカーボン繊維:耐熱性や耐薬品性を備え、プリント基板の静電気やはんだボール除去に適しています。
- サンダーロン®(銅染色アクリル繊維):折れたり切れたりしにくい柔らかい繊維です。工業用品からOA機器まで幅広く使用されています。
- ステンレス繊維:毛折れを気にする現場に適しています。フィルム製造機やラミネーター機、塗工機などに使用されています。
- 導電性不織布:特殊な処理で導電性を付与した不織布です。テープ状での使用が主です。
除電ブラシが選ばれる理由
コスト面
単価が安い上、シンプルな構造と除電原理なため故障などが起きず修理費用がかかりません。また電気代もかかりません。
同じ除電アイテムでイオナイザー(送風型)がありますが、単価が高く電源が必要(電気代がかかる)で、故障した場合は修理費用も発生します。
手間面
故障が起きないため、メンテナンスの頻度は少なくて済み、手間が最小限に抑えられます。設置に関してもビスなどで固定しアースを取れば良いだけなので簡単に行えます。
イオナイザー(送風型)は精密機械なので定期的なメンテナンスが必須です。設置に関しては常設する場合は電源との距離やイオンの吹付方向などの調整が必要になります。
まとめ
以上のように除電ブラシは他の除電アイテムと比較してコスト面、手間面でメリットが出せるアイテムです。
もちろん利用シーンによってはイオナイザー(送風型)の方が向いている場面もございますので、どちらを導入すれば良いか分からない場合や迷われている場合は、一度弊社にご相談ください。
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