Trivia 製品豆知識

データセンターの空調問題はキャッピングで解決

製品豆知識2025/08/20

1.データセンターの空調負担の課題

1-1.需要が増加しているデータセンター

かつては大手企業や官公庁だけが利用していたデータセンターですが、ここ数年でその重要性は一気に高まりました。その主な要因が生成AIの爆発的な普及です。ChatGPTやBard、画像生成AIなどの登場により、AIモデルを学習させるための膨大なデータと計算処理が必要となりました。これに対応するためには、高性能なGPU(グラフィックス処理装置)を大量に搭載したデータセンターが不可欠です。

経済産業省の資源エネルギー庁のデータによると、AIなどによる需要増加に伴い、2030年度の消費電力は2022年度比で2倍以上、2050年度の消費電力は2022年度比の5倍以上に拡大する見通しであると予想されています。(参照:資源エネルギー庁

1-2.データセンター需要増加の影響

データセンターにおけるサーバーの発熱は、非常に重要な課題であり、以下のような複数の問題点を引き起こします。特に、生成AIや高密度処理を行うシステムが増える今、発熱問題への対応はデータセンターの運営において不可欠です。

①機器の故障リスクの増加

サーバー内部の温度が高くなると、CPU・GPUの動作不良や過熱停止、メモリやSSDのデータ破損のようなハードウェア障害のリスクが上昇します。

②冷却にかかる電力コストの増大

サーバーから出る熱を処理するために空調機器が稼働しますが、その電力消費は非常に大きくデータセンター全体の電力使用量のうち約40%前後といわれています。また発熱が増えるほど空調設備の稼働率も上がり、電気代が膨れ上がります。

 

2.サーバールームの混合空気問題

2-1.なぜ混合空気が問題なのか?

データセンターやサーバールームでは、常に高密度なIT機器が稼働しており、その排熱を効率よく冷却することが求められます。冷却空気(冷気)はサーバーの前面から取り込まれ、内部を通って背面から温風として排出されます。

  • ホットアイル・・・・排気された暖気が集まる通路
  • コールドアイル・・・冷気を送る通路

本来であれば、冷気と温風は明確に分離されている必要がありますが、この2つが室内で混ざり合ってしまう現象が混合空気です。この現象が起きると、せっかくの冷気の温度が上昇し、機器を充分に冷やすことが出来なくなります。

2-2.混合空気が発生する主な原因

①ラック上部の隙間が混合空気を引き起こす

ラックの上部が開放されたままになっていると、ホットアイル側で発生した排熱は上昇し、ラック上部の隙間を通ってコールドアイル側へ侵入します。結果として、サーバーを冷やすための冷気と温風が混ざり合い、サーバーに供給される吸気温度が上昇してしまいます。

 

②配線スペースの隙間が混合空気を引き起こす

サーバーラックの背面や側面にあるケーブル配線スペースは、ラック内部を貫通する形で上下左右に空間が開いていることが多く、そこから温風が冷気側に漏れ込むルートとなり冷却効率を低下させます。

 

3.空調課題を解決するキャッピングとは

キャッピングとは、データセンター内で冷却効率を高めるために、冷気と温風の流れを物理的に分離する手法のひとつです。「空調機の稼働率を下げる」、「電力コストを抑える」、「ホットスポットを防ぐ」など多大な効果が期待できます。

3-1.キャッピングの種類

①ホットアイルキャッピング

温風が滞留する通路(ホットアイル)の天井や側面を囲い、温風を集中的にダクトや天井排気に誘導する方法です。

②コールドアイルキャッピング

冷気が供給される通路(コールドアイル)を天井まで囲い暖気の遮断と冷気漏れを防止する方法で、サーバーの吸気口側に確実に冷気を届けられるため、空調効率が向上します。

 

3-2.キャッピングによる5つのメリット

キャッピングを導入することで次のような効果が期待できます。

①電力コストの大幅削減

冷暖空気の混合を防ぐことで空調機の稼働が抑えられ、電力使用量が削減されます。

②PUE値の改善

PUEはデータセンターのエネルギー効率の指標です。キャッピングで冷却効率を上げることで、PUE値改善が即成果として現れます。これはESG評価にもつながる重要ポイントです。

③ホットスポット解消

局所的に温度が上がる「ホットスポット」は機器故障やパフォーマンス低下の原因です。キャッピングで空気の流れを管理すれば、ホットスポットの悪影響を回避できます。

④設備投資コストの抑制

キャッピングによって既存空調設備の能力を最大限活かせるため、空調機や電源設備の増設が不要になる場合もあります。

⑤脱炭素経営の推進

省エネはそのままCO2排出削減につながり、企業のカーボンニュートラルへの取り組みを後押しします。

 

4.ビニールカーテンによるキャッピング

柔軟にカスタマイズ対応でき、パネルや金属システムより導入コストが安いビニールカーテンによるキャッピングは近年注目を集めています。
ビニールカーテンによるキャッピングとは、ラック間の通路(ホットアイルまたはコールドアイル)を透明なビニール素材で仕切り、冷暖空気を分離する方法です。専用のキャッピングシステムと比べて簡単・柔軟に設置できるのが特長で、後付けや小規模施設にも対応可能な省エネ対策として注目されています。

ビニールカーテンによるキャッピング効果

※空調方式・運転状況・サーバー機種等、条件により効果は異なります。

4-1.柔軟な設置・施工が可能

ラックの高さや幅に合わせてオーダーでき、L字などのレイアウトにも対応できます。また既存のラック構成を変えずに、簡単にキャッピングが可能です。
出入口はカーテン構造なのでフレキシブルに開閉が可能で、作業の妨げにはなりません。

4-2.コストを抑えて空調効率を大きく改善

キャッピングにかかる費用はパネルや金属製システムと比較して圧倒的に安価で導入ができるにもかかわらず、冷却効率の向上効果は変わりません。

4-3.透明性が高く、明るさ・視認性を確保

ビニールカーテンは透明素材のため、ラックの状況が一目で確認でき照明や監視カメラに干渉しない仕様です。

4-4.軽量で安全性が高い

地震や火災時にも落下リスクが低く、二次災害に繋がりにくい安全な仕組みです。

4-5.機能性が選べる

消防法適合の防炎性、静電気対策の帯電防止性を付与した「防炎+帯電防止」ビニールカーテンだけでなく、建築基準法に基づき国土交通大臣が認定した不燃性を有した「不燃+帯電防止」ビニールカーテンの仕様も可能です。

出入口の混合空気を塞ぐビニールカーテン

人が出入りするためカーテンはレール等に吊り下げ開閉させ、出入り口に適した仕様で、加工・施工します。

ラックと天井の間の隙間を塞ぐビニールカーテンの導入事例

ラックと天井の間の隙間を塞ぐため現場に合った仕様・形状にビニールカーテンを加工し施工します。

のれんビニールカーテンで混合空気を防ぐ導入事例

出入り口にもラックと天井の隙間にも使用可能な、のれんタイプのビニールカーテンです。

このような現場でビニールカーテンのキャッピングが選ばれます

天井に梁が通っていたり、ラックの高さが揃っていない現場への導入実績もございます。

  • データセンター内のレイアウト変更の多い現場
  • 既存のラックレイアウトが複雑な現場
  • 限られた工期で対策を行いたい現場

 

 

5.失敗しないキャッピング設計のポイント

キャッピングは設計が肝心です。以下のポイントを抑えることが成功のカギとなります。

5-1.動線確保

ビニールカーテンなら開閉や取り外しが簡単で保守作業や機器更新時の動線を確保しやすいという利点があります。

5-2.防炎・防火規制対応

データセンターでは消防法に基づく厳しい規制があります。弊社では消防法に適合した防炎登録品や建築基準法の不燃材料として認定されたビニールカーテンの用意もあります。

5-3.カスタム対応力

天井高、ラックサイズ、配線経路などは現場ごとに異なります。弊社では現地調査を徹底し、オーダーメイドで対応します。現地調査は無料でおこなっていますのでお気軽にご連絡ください。

 

6.石塚株式会社の強みと実績

弊社は創業70年の歴史を持つ技術商社として「ビニールカーテンのキャッピング」「工場や倉庫向けビニールカーテン工事」「あらゆる施設の窓貼りフィルム工事」「工場や倉庫の床工事」をワンストップで手掛けています。

特にビニールカーテン分野では2年連続「ビニールカーテンに係る売上高No1」(東京商工リサーチ調べ)を獲得しています。防炎性・帯電防止性・透明性などデータセンターに適した要件を満たすビニールカーテン生地を多数ラインアップしています。設計から製作、施工まで一貫して行うため、短納期案件や急な仕様変更にも柔軟に対応できます。

実際にご相談いただいたお客様からは高い評価をいただいています。

  • 短納期で施工できたのにコストを抑えられた
  • 既存設備を活かせてコストを抑えられた
  • 保守作業の邪魔にならず非常に便利

データセンターの空調でお悩みなら、ぜひ石塚株式会社にご相談ください。

 

7.まとめ

データセンター運営において空調効率の改善は避けて通れない課題です。その最適解としてビニールカーテンのキャッピングは「混合空気の抑制」、「電力コストの削減」、「安定稼働の確保」、「CO2削減」と多方面に効果を発揮します。
しかも柔軟性と施工スピードを両立できるのはビニールカーテンならではの強みです。石塚株式会社では豊富な経験と確かな技術で、お客様ごとの状況に合わせた最適なソリューションを提案します。

「データセンターの空調の改善を検討している」という方は是非お気軽にご相談ください。

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