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工場の節電対策|夏の暑さ対策と電気代削減(省エネ)方法

製品豆知識2024/09/13

2024年も電気代の高騰で消費電力の節電は重要課題です。この記事では最新の電気代の値上げ情報から工場などの製造業や倉庫の省エネ方法や対策商品を紹介し、製造業の取り組みの事例と合わせて解説します。工場の夏の暑さ対策にも活用できるおすすめ対策商品も紹介します。
電気料金の値上げ状況と工場の暑さの原因を知っていただき、本格的な夏が訪れる前に現在できる節電対策を把握、実践いただければと思います。

夏に近づくにつれて電力の使用量が増える季節となります。夏の電力需要は昼間の13時から17時に高まる傾向と言われており、電力需給は太陽光発電の出力が減少する17時から20時の時間帯が厳しくなると言われています。2024年度の夏季電力需要の見通しは経済産業省の発表によると「全エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通し」と発表し、全国で節電を要請しない方針となりましたが、電気料金は2024年に入ってからも大手電力会社の値上げの発表がなされています。

工場の節電対策は使用していない機器などの電源を小まめに落とすなど従業員の節電に対する取り組む意識の徹底はもちろん必要ですが、自社努力だけでは消費電力量の削減には限度があります。

1.工場の電気料金とは

1-1.2024年の電気料金値上げ状況

2024年5月に大手電力会社10社で電気代の値上げが発表され、そのうち8社の電力会社で過去最高値の電気料金となりました。値上げの理由と電気料金の仕組みを解説します。

①電気料金の仕組み

下記の通り、基本料金と電力量料金、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金を合算した合計で決定されます。基本料金は電力会社との契約電力の種類によって異なり、基本料金単価は前年の過去1年間の最大デマンド値によって決定されます。

基本料金+電力量料金(電力料金単価×1カ月の使用量)+燃料費調整額+再生可能エネルギー発電促進賦課金

②燃料費調整額の高騰

燃料費調整額は燃料の発電に必要となるLNG(液化天然ガス)や石油などの輸入価格をもとに反映されるため毎月見直しをおこなっています。2022年2月からロシアのウクライナ侵攻が始まり、ロシア産の化石燃料に対して欧米諸国が禁輸措置をとった事により、日本への輸入量が減少した事も燃料価格の高騰に大きく影響しています。加えて日本国内の円安が影響して燃料の輸入価格が上がっていることも電気代の値上げ要因のひとつです。

③再エネ賦課金単価の値上げ

再生可能エネルギー(太陽光発電、水力発電、風力発電、地熱発電など)を普及させ拡大する目的で制定され電気代に毎月加えられている再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価が2024年5月請求分より値上げとなりました。

④補助金の廃止

更に2023年1月から電気代やガス代が高騰している対策として政府が実施してきた「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の補助金が2024年5月まで適用され、2024年7月から補助金が終了することで更に電気代の値上げが予想されます。
電気代の値上げとなる状況で、平年より暑い夏になることが予想されることから、政府は2024年8月から3ヶ月の電気とガス使用分から「酷暑乗り切り緊急支援」の補助金を実施することを発表しました。

 

1-2.工場の消費電力の内訳

 

工場の消費電力の内訳は大きく分けて、製造ラインなどの機械を動かす生産設備と業務用エアコンなどを稼働させる空調設備、工場内や屋外の電灯で使用する照明設備の3つに分類されます。

資源エネルギー庁のデータによると、一般的な工場の消費電力の内訳は生産設備の消費電力が81%と最も高い割合を占め、その次に空調の消費電力が11%、照明器具の消費電力が8%を占めています。
(参照:資源エネルギー庁「節電アクション」

最も高い割合の生産設備の消費電力削減をおこなうことが節電対策に一番効果的ですが、省エネ機器へ製造設備などの交換には事業者の経営的な資金投資の問題や更新の手間など現実的には難しく限界があります。
本コラムでは空調設備の節電対策を中心に対策方法と対策商品をご紹介します。

 

 

2.工場の暑さの原因

暑さ対策

 

  • 屋根や外壁から熱が伝わりやすい構造
  • 熱のこもりやすい工場の構造
  • 搬入口や出入り口の間口の広さ
  • 製造設備などの機械熱

2-1.屋根や外壁から熱が伝わりやすい構造

工場は一般家庭と比較して周辺に建物が密集していない事から、日陰が少なく屋根だけでなく外壁も直射日光にさらされます。工場の屋根や外壁は鉄やコンクリートを使用している事が多く、熱の性質では熱は温度の高いところから低いところへ移動する性質があることから、屋根や壁に当たった直射日光の熱が温度の低い工場内に伝わり工場の暑さの原因となります。

2-2.熱のこもりやすい工場の構造

工場は作業スペースが広く、天井も高い構造となっていることが一般的であることから、空調も効きにくくなります。また大きな機械設備や商品や工具棚などがあることで風通しが悪いことも、熱が室内にこもりやすくなり、暑さの原因となっています。

2-3.搬入口や出入り口の間口の広さ

工場はフォークリフトなど資材を搬入する出入口や作業員などが室内を行き来する出入口などの開口部を、作業効率化により開けっ放しにする必要性や頻繁に開閉する環境にあります。そのため室内温度の維持が難しく、せっかく空調で冷えた室内の冷気が屋外に流出し、逆に室内に屋外の熱気が侵入しやすい環境下にあります。

2-4.製造設備などの機械熱

工場では製造に必要な装置や機械設備などから発せられる機械熱も暑さの一因です。機械設備が稼働することにより機械本体から放射される機械熱によって工場内の室温が上昇します。

 

3.空調の節電対策

 

  • 空調フィルターの掃除
  • 設定温度の見直し
  • 間仕切りカーテンの設置
  • 窓貼りフィルムの設置
  • 機械熱を遮熱
  • 天井の熱の遮熱
  • 電力会社の見直し
空調 節電対策

空調(冷暖房)効率が悪くなると設定温度まで作業場を冷やすのに、更に空調のエネルギーを消費することになり電力使用量が増加します。

3-1.空調フィルターの掃除

空調設備を日々使用していると、内部のフィルターに埃や汚れが蓄積し目詰まりを起こします。埃や汚れがフィルターに蓄積することで空調の空気の循環がうまくできず、空調(冷暖房)効率が低下して余分な電気代がかかります。そのため空調のフィルターは室内機と室外機の両方とも定期的に清掃を行いメンテナンス確認することが重要です。使用している空調の性能や工場の規模、運転時間や環境にもよりますが、業務用エアコンを提供しているメーカーでは、工場の場合3年に1度のクリーニングを推奨しているところもあります。 条件や機器にもよりますが、フィルター清掃を実施することで、約20%の節電効果が期待できるといいます。

3-2.設定温度の見直し

夏の冷房の設定温度を1℃高くすると約13%、冬の暖房の設定温度を1℃低くすると約10%の空調の消費電力の削減になるといわれています。また環境省では、適正な空調設定温度は夏季28℃/冬季20℃を推奨しており、この温度を一定に保つことで、消費電力量を抑制することができます。

3-3.間仕切りカーテンの設置

工場建屋内の空調(冷暖房)効率を高めるため、ビニールカーテンで局所的に間仕切ることも節電対策に有効です。ビニールカーテンで工場や倉庫の広い空間を間仕切ることにより、暖気や冷気を逃がさず空調(冷暖房)効率を高め、室温を管理しやすくすることが可能です。また冷暖房効率を高めることで作業環境が改善し作業効率アップにもつながります。空調を効かす範囲を絞ることで、消費電力の削減(節電)・電気代削減に貢献します。

シャッターで開口部を間仕切り屋外からの暖気を遮断することで室温を維持することもできますが、屋内からは屋外の様子がわかりにくくなってしまいます。透明ビニールカーテンは視認性が高く、シャッターの内側に間仕切りカーテンとして設置することで屋外からの冷気・暖気を遮断することができ、空調(冷暖房)効率が改善、節電に繋がります。

3-4.窓貼りフィルムの設置

室内温度上昇の原因となる近赤外線をカットすることで室内温度の上昇を抑え、冷房の効率を高めるとともに作業環境を改善します。

3-5.機械熱を遮熱

機械からの熱を遮熱シートで遮断することで、室内の温度上昇や温度変化を抑えられ、エアコンなどの空調効率が向上し節電に繋がります。製造ラインの作業者の暑さ対策としても有効です。

3-6.天井の熱の遮熱

工場の屋根に遮熱シートを設置することで輻射熱を反射させ、太陽光による工場内の温度の上昇を防ぎます。これにより空調(冷暖房)効率を高めることができ節電対策に繋がります。

その他にも屋根に断熱効果のある塗料を施すことも効果があります。遮熱シートと同様に輻射熱を反射させ太陽光による工場の屋根の温度上昇を防ぐことで、屋外からの熱伝導を防ぎ室内温度上昇を抑えることができます。施工時の塗りムラが出てしまった場合や、塗り膜の表面が汚れてしまった場合には遮熱効果が弱くなってしまうことから注意が必要です。

3-7.電力会社の見直し

電力自由化が実施されるまでは、各都道府県地域の電力会社(旧 一般電気事業者)のみ電気を販売し、電気を買う会社は選ぶことができませんでした。
2000年3月から大規模な工場施設を対象とした特別高圧区分で電力自由化が導入されました。そして2004年4月、2005年4月に小規模・中規模の工場施設を対象とした高圧区分も電力自由化が実施されました。これにより中小企業側で電力会社の選択が自由になり、20年以上電力自由化から経過していますが、従来の電気料金と比較し安いプランへの乗り換えを検討することも節電対策のひとつです。

 

4.節電対策商品の紹介

4-1.夏のビニールカーテンの節電効果

実際の現場環境によって異なりますが、ビニールカーテンの設置有無によって1℃の設定温度変更により約13%の節電効果が得られ(参照:資源エネルギー庁「節電アクション」)、2℃の変更で約24%、3℃の変更で約34%の節電効果が期待できます。弊社の実績ではカーテンの設置によって平均で2~3℃設定温度の変更ができ、計算上約24-34%の節電効果が見込まれます。

4-2.糸入りビニールカーテン

糸入りビニールカーテンとは

糸入りビニールカーテンは、透明フィルムにポリエステル糸を格子状にラミネート加工しているため、高い透明性と高い強度を持った素材です。
屋外からの雨風にも耐えることができ、頻繁な開閉にも耐える強度を兼ね備えています。ビニールカーテンだけでなくビニールブースやビニールカバー用途にも使用される人気の素材です。

作業場の冷暖房効率改善の事例

糸入りビニールカーテン

大阪府の科学機器製造工場にて作業エリアの空調(冷暖房)効率を高め節電対策を行いたいとご依頼いただき、作業エリアの出入り口に糸入りビニールカーテンを施工した事例です。
マグネット付きポールを使用して密閉性を高めました。

<使用生地>
・クリスタルターポCT-1055-4帯電防止・耐寒

4-3.のれんビニールカーテン

のれんビニールカーテンとは

のれんビニールカーテンは1枚物のビニールカーテンと比較して、開閉の手間がなくフォークリフトが通る搬入口や、人や台車などの出入口に設置してもスムーズに通り抜けができます。開閉する手間が増えると作業などで往来する度に室内の冷気が逃げたり、屋外から暖気が侵入する頻度が増え空調効率が下がる原因となるため、掻き分けて出入りすることができるのれんタイプは空調効率が向上し、省エネになり節電対策にも効果的です。

搬入口を間仕切り節電対策の事例

のれんビニールカーテン

東海地方にある産業資材の商社にて、エアコンを稼働させても作業場の空調の効きが悪いとご相談いただき、のれんビニールカーテンを施工した事例です。
出入りが多いため、のれんビニールカーテンを提案し台車を押しながらや、荷物を抱えながらでもスムーズに通行できるよう、カーテンの開閉が不要なのれんビニールカーテンを施工しました。

<使用生地>
・アキレス ミエール一般制電

4-4.アコーディオンビニールカーテン

アコーディオンビニールカーテンとは

アコーディオンビニールカーテンは畳んだ時にすっきり綺麗に折り畳み収納することができます。そのため開けた時に有効開口が広く取れることが特長です。

物流倉庫の省エネ対策の事例

アコーディオンカーテン

神奈川県の物流倉庫にて倉庫内が広いため空調が効きにくく省エネ対策をおこないたいとご依頼いただき、アコーディオン式ビニールカーテンを施工した事例です。
パーティションパネルやシートシャッターなどの間仕切り方法と比較検討いただき、低価格で視界を遮らないビニールカーテンの弊社の提案を採用いただきました。

<使用生地>
・オレールセイデンクリスタル

4-5.窓貼りフィルムで遮熱

遮熱フィルム
3M 遮熱ガラスフィルム NANOシリーズ

遮熱フィルムを窓ガラスに貼ると室内に流入する日射を削減するために空調負荷を軽減することができ、空調電力料金を削減できます。また使用電力の削減に伴い排出されるCO2も削減できます。

Nanoシリーズは高い透明性を持ちながら優れた遮熱性能を有するため、ガラスの透明性を損なうことなく暑さ対策をすることが特長です。

4-6.遮熱シートで屋根の輻射熱対策

輻射熱対策
冷えルーフ
冷えルーフは、主に金属折板屋根の上に施工する、自然の力を利用した遮熱シートです。
太陽光を遮ることで屋根全体の温度上昇を抑え、そこから建物全体に伝わる熱をも抑える効果があり、夏は遮熱による節電対策に繋がります。その他にも結露緩和や冬の保温、屋根の音鳴り緩和などにも効果を発揮します。

4-7.遮熱シートで機械熱の対策

サーモバリアフィット

乾燥炉などの大型の機械をサーモバリアフィットでまるごと包むことにより、熱を封じ込め放射熱を大幅にカット(輻射熱97%減)し機械から出る熱による室内温度の上昇を抑え、節電対策と暑さ対策に貢献します。

ガラスクロス繊維に特殊樹脂シートを合わせ、両面にアルミ箔を施した不燃シートで、国土交通大臣の不燃認定を取得しています(不燃認定番号:NM-5169)。

 

5.まとめ、その他のコンテンツ紹介

5-1.コラムのまとめ

  • 工場の節電対策は従業員の節電に対する取り組みの意識徹底は必要だが、自社努力だけでコストを抑えるには限度がある。
  • 工場の暑さの原因は、現場の環境要因、屋根や外壁の構造、開閉間口の広さ、製造設備の機械熱など様々な要因がある。
  • 工場の消費電力の内訳は生産設備が81%と最も多く、その次に空調の消費電力が11%を占めている。
  • 空調の節電対策は、空調フィルターの掃除や設定温度の見直しなどの自社での対策、間仕切りカーテンや遮熱フィルム、遮熱シートによる対策商品の導入などがある。
  • 空調の節電対策以外にも新電力など電力会社の見直し、消灯時間の見直しなど空調以外に自社での対策やLEDや太陽光パネルなどの対策商品の導入などがある。
  • ビニールカーテン導入による夏の節電効果は約30%が見込まれる。

 

5-2.節電対策のお問い合わせ

①節電対策のお問い合わせ

のれんビニールカーテンの電話でのご相談

受付の時間は平日9:00~17:30までとなっております。営業時間外または土日の休業中にいただきましたお問い合わせに関しましては、原則として翌営業日以降のご案内となります。

東京本社 大阪支店 静岡営業所
TEL:03-3866-8201 TEL:06-6441-0785 TEL:054-294-8931

②節電対策商品を見る

 

③節電対策商品のカタログを見る

ビニールカーテン総合ガイド(2024年7月版)

ビニールカーテン
総合ガイド

空調の電気代削減に効果的なカーテンのご提案<br>『節電カーテン』

節電対策
ビニールカーテン

MAGLEN(マグレン) マグネット連結式のれんビニールカーテン

マグネット連結式
MAGLEN

のれんビニールカーテン(ストリップ型ドアカーテン)「アキレスミエール」

のれんカーテン
アキレスミエール

糸入り透明ターポリン「クリアターポリンシリーズ」

糸入り透明カーテン
クリアターポリン

糸入り透明ターポリン「プライキャンバスシリーズ」

糸入り透明カーテン
プライキャンバス

ビニールカーテン交換のすすめ

ビニールカーテン
交換

サーモバリアフィット(遮熱シート)

遮熱シート
サーモバリアフィット

④節電対策の関連コラムを見る

 

⑤工場のその他の悩みを解決する

  • 工場の防虫対策 <詳しくはこちら
    工場や倉庫の防虫対策について虫の侵入原因や防虫対策商品の導入事例をコラムでまとめました。
  • 工場や製造現場の静電気対策 <詳しくはこちら
    生産障害や機器の誤作動など、様々なトラブルの原因となる静電気。工場や製造現場で用いられる静電気対策についてまとめました。
  • 工場火災の原因と火災対策 <詳しくはこちら
    工場火災は大規模な火災に繋がりやすく、製品の安定供給や従業員の安全のため対策が必要です。工場火災の原因や発生リスクと火災事例をまとめました。
  • 工場の水害対策商品と対策項目 <詳しくはこちら
    地球温暖化の進行に伴い、ゲリラ豪雨や線状降水帯が各所で発生し、安全管理が最重要の水害対策となります。水害対策商品と、災害発生後の水害対策商品をまとめました。
  • 間仕切りカーテンで工場や倉庫の寒さ対策 <詳しくはこちら
    工場や倉庫での寒さ対策は社員の健康面や生産性、エネルギーコストの側面から対策を行う必要があり、寒さの原因と防寒対策の具体例を解説します。

本記事は石塚株式会社(弊社)が執筆しました。
弊社は創業以来、60年以上にわたり軟質PVCを加工した「ビニールカーテン等の工業資材」や「手帳カバー等の文具雑貨」などプラスチック製品の製造販売を行っています。
東京商工リサーチの調査により「ビニールカーテンに関わる売上高No.1」に選ばれ、業務用ビニールカーテンだけでなく工場や倉庫などの環境整備のお困りごとを改善する製品やサービスを扱っています。

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